ラピスラズリ(Lapis Lazuli)の青
石にまつわる雑記帳です どうか気軽にお読み下さい
「サムライ・ブルー」が旋風を巻き起こしつつある、2010サッカーW杯、日本代表ユニフォームの青は「日本の国土を象徴する海と空の青」を表すとのこと。ちなみに、胸のマークは三本足の八咫烏で日本サッカー協会のシンボルマーク。八咫烏(ヤタガラス)は日本書紀に登場し神武東征を導いたとされる。
「サムライ・ブルー」はライトブルーではなく、ややや濃い色合いで群青色に近いように見る。
群青(ぐんじょう)は古くから用いられている岩絵の具で、ラピスラズリをすりつぶして得られる深い青色の顔料。
絵画ではフェルメールの「真珠の耳飾の少女」で少女が頭に巻くターバンの色合いが有名。
ヨーロッパでは「ウルトラマリンブルー Ultramarine Blue」と呼ぶこともあり、原産地のアフガニスタンからシルクロードや船便ではるばる運ばれたことから、はるばる海を越えたきた青い宝石という意味合いがあるという。
日本では古来から七宝の一つに数えられ珍重されてきました。シルクロードを使って運ばれ更に日本海を越える航海の後にてもたらされた貴重な品であったはず。
エジプトではツタンカーメン王の黄金のマスクにも用いられ、また、イスラム建築のモスクなどでもラピスラズリが多用され、世界各地で古来から珍重されたことがうかがえる。
もちろん現在も大変人気のある石で、産地も限られることから貴重な石であることに変わりはない。
ラピスラズリの和名は青金石(せいきんせき)や瑠璃(るり)。
以前「瑠璃色の地球」という曲があったが、宇宙から見ると地球は青い宝石なのだろう。ただこの石を見ながら想うのは夜空を彩る星々の風景だ。ラピスラズリの深い青色に点在する金色のパイライトが夜空を彩る星々に見えてくる。「満天の星空」という形容がすっきりとはまっているように思える。
ラピスラズリを含めて青い色の石は人気が高いのだが、自然界で青色を示すものは少ないように思う。確かに晴天時の空とそれを写す海が青色であることを考えれば、自然界は圧倒的に青色に彩られているといえるのかもしれない。けれど木々の緑のように、大地の上で青く映るものは多くない。変な言い方かもしれないが「確かな青」という”モノ”が少ないとも言える。だからこそ深い青色を示す宝石に惹かれていくのかもしれない。